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【4月18日・2日目】


ホテルには島内一周の観光バスを頼んだつもりだったのに、やって来たのはミニバンを使ったタクシー。この島では観光バスというものはあまりないらしい。タクシーの運転手がガイドをしてくれる。客は私と私と同じくらいの歳のアメリカ人のカップル。男の方は米国で小さな劇場を経営しているとかで、見るからに実業家風。気さくなカップルで、すぐに打ち解けた。


植物園から海を見下ろす

島の北西部へ向けてタクシーは走る。途中の小高い丘に作られた熱帯植物園を訪れた後は、島の最高峰 Liamuiga火山(1156m)を見ながら海岸線を走る。火山島なので、この辺の海岸線の砂浜は黒っぽい。リゾートらしい純白の砂浜を見たければ、珊瑚礁の発達した島の南東部に行くことになる。



Brimstone Hillの要塞の大砲は、隣のオランダ領に睨みを利かす

程なく海岸側へと切り出した絶壁に作られた、Brimstone Hill要塞が見えてくる。英国のこの周辺での戦略基地であったこの島らしく、その姿はものものしい。今でも残っている20を超える大砲は、南側(陸側)を除く3方向に睨みをきかせている。北方向に見えるオランダ領の島へと向いている大砲の数が一際多いのは、この2つの島の間でかなり激しい戦闘が行われた名残かもしれない。


【4月19日・3日目】



小高い丘からは、島の南東部と隣のネビス島が見える(左)ホテル近くのビーチを散歩する人たち(右)

早いもので明日早朝には島を出発しなければならない。前日までには読みたかった小説もビーチの木陰で読み終えてしまったので、今日はスポーツの日。早朝に近くの小高い丘に登って島の南東部を眺めた後は、シュノーケリングでホテル周辺の海底を覗く。数は多くないが色とりどりの熱帯魚が見える。見とれていたら魚の一匹が足を噛っていった...

午後はジェット・スキーを借りて周辺の海を散歩。今日はカリブの島々をクルーズしている船の一隻がこの島に寄港したせいで、ホテル前のビーチも食堂も船から降りてきた人たちで大混雑である。ジェット・スキーのおかげで、波しぶきを浴びながら豪華客船の堂々たる姿を近くで見ることが出来た。



島での最後の夕焼け、客船は少しずつ島から遠ざかる...

島で最後の夕暮れがやってきた。ずっと砂浜で刻々と変わっていく海と空の色を見ていた。夕焼けの中、クルーズ船が煙を上げて島を離れていく。方向からすると、次の目的地はお隣のアンティグア辺りだろうか...

1時間もすると周囲はすっかり暗くなった。ビーチのバーで少しずつ見え始めた星と、波の音を肴にラムベースのカクテルを飲む。日々の悩みが取るに足らないことに感じられる一瞬。この一時が、数日後には再び訪れる都会での喧噪の日々に向けてのエネルギーを充たしてくれる。

強めのカクテルと日焼けのせいで、すっかり火照った体を潮風で冷ましながら、ホテルへとゆっくり海岸線を向かう。ふっと顔を上げると折しも太陽系に3千年の別れを告げようとしている彗星が、自分に手を振っているような気がした...




(c) K. Suzuki, 1997-2001



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